19日間を精一杯生きてくれた甥へ。

産まれてすぐのあんな小さな体なのに、僕も体験したことの無いような痛い思いや辛い思いをいっぱいして、本当にしんどかっただろう。管を通して母乳を一生懸命摂る君の姿をビデオで見ていると、君がどんなにお父さんやお母さんと一緒に生きていきたかっただろうと思う。君のその想いが叶わなかったことを考えると、胸が張り裂けそうになる。君自身を含めて、君の幸せのために動いていた皆があんなに一生懸命だったのに、何てやり切れないことになってしまったんだろう。本当にもうどうしようもないことなんだけど、お互い辛いね。
君が無事に成長したら何をして遊んでやろうか、どんな話をしてやろうかって昨日まで考えてたんだけど、もうそんなことどうだっていい。君と僕とは生きて会うことも話すことも出来なかったけど、今日天子になってしまった君の姿を見ている間に、君のお父さんのこと、お母さんのこと、君自身のこと、本当にたくさんの言葉を交わした。そのときしっかりと君に伝えたことだけど、改めてもう一度同じことをここから伝えようと思う。
君の知っている通り、君のお父さんやお母さんは君の頑張りが報いられるようにこれ以上ないくらいに頑張ってたよね。お父さんとお母さんにとって君は、愛おしくて愛おしくてたまらない存在だ。これからもずっとそう。子は親を選べないというけれど、君が生まれてきたトコロは決して間違いじゃなかった。君は「アタリ」を引いた。君はそのことを誇っていい。天国でお父さんやお母さんのことを一杯自慢したらいい。そしてそんな素晴らしいお父さんやお母さんにずっと愛され続けることを一杯自慢したらいい。
そんな愛情たっぷりのお父さんとお母さんの子だから、同じく愛情深いに違いない君は、自分自身がもっと生きられなかったことよりも、お父さんやお母さんを悲しませてしまったことを辛く思うかもしれない。そりゃあ愛しい存在との別れは身が裂けるように辛いけど、誰も君が悪いだなんてこれっぽっちも思ってない。君がお父さんやお母さんや周りの人を責めていないように、誰も君を責めてない。君は皆が驚くくらいに一生懸命だった。君は、過去未来含めたありとあらゆる命の中でただ一人君にしか出来ないことを、君にしか出来ない方法で精一杯頑張った。それだけで充分だ。
結果は残念だったけど、君がそうやって頑張ってくれたことが僕らにどれくらいの幸せを与えてくれてたか、わかるかな。君のおじいちゃんやおばあちゃんも、僕も、幸せをたくさんもらった。頑張ってくれて、本当にありがとう。君のお父さんやお母さんも、そんな凄い君のことを一杯自慢したいんだよ。
君が辛いとお父さんやお母さんも辛いし、お父さんやお母さんが辛いと君も辛いだろう。だから、しばらく別れを素直に悲しんだ後は、ちょっと気張って前を向いていて欲しい。あれだけ頑張った君なら、きっと出来るはず。
またいつか会おうね。その時は一杯一杯遊んでやるから。
あ、でも、「オジさん」って呼んだら遊んでやらんからな。