リサイクル―回るカラクリ止まる理由 (シリーズ・地球と人間の環境を考える)作者: 安井至出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2003/06/12メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 7回この商品を含むブログ (7件) を見る

日本の新世代型の循環型社会への道として、3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進が叫ばれる中、リサイクルというものを基礎からきちんと見つめなおす時に忘れることの出来ない視点を幾つか提供してくれる。
リサイクルの価値も、何をリサイクルするかによって大きく変わる。様々な材料や製品を例に挙げながら、本書はその認識をきちんと持つことが大事だと指摘する。また、リユースやリサイクルすることによって起こりうるリスクについても我々は知っておかなければならない。特に最近の「とにかくリサイクルすれば環境にやさしい」的な風潮に筆者は警鐘を鳴らす。
結論としては、リサイクルの評価は、完全な情報公開の元でのライフサイクルアセスメント(LCA)であるべきだというもの。そしてLCAの高い製品の普及を早める為に税の優遇措置やデポジット制といった、官主導の対策も考えなければいけないという。最終的には、全地球やさらに未来世代のリスクをも思慮に入れ、全体のリスクをいかに軽減していくか、という「トータルリスクミニマム思想」の共有を目指さなければならない、というのが著者の主張のようだ。
この主張は正論であるように思う。確かに人々が皆そのような思想を持ちつつ、持っていればシアワセに生活できる可能性の高い社会、というのは理想であろう。が、この本にはどのようにその思想を育み広めていくかについてはきちんと語られていないように思う。該当するとすれば、「正しい知識をきちんと伝えるべき」という箇所であろうか。
そんなことが正論であることは多くの人は分かっている、でもいきなり「地球全体や未来世代のリスクを考えろ」と大きいことを言われてもよく分からないし、何をすればいいのか分からない、というのが実情ではないだろうか。
やはり僕が考えるのは、想像可能な身近なことから大きなことへつなげることが重要だろうということ。そしてそのための社会構造を作り上げることの重要性を大きく感じるものである。