アスベスト。

seironのニュース解説に新しい記事を書きました。今回は、今まさに世間を騒がせているアスベストについてです。正直、近年稀に見るほど深刻な問題です。政府としては、ある程度以上多数の国民の命に直結する問題であるため、かなりデリケートな扱いにならざるを得ないでしょう。
世界各国の動きと比べれば、seironの一つの大前提である「政治的に中立」な目を以ってしても対策の遅れは否めぬ事実です。実際、今日になって政府もそれを事実上認めました[http://www.mainichi-msn.co.jp/science/env/news/20050719dde041040061000c.html]。全面禁止が2008年というのは有り得ない遅さです。我々はそれを踏まえた上で、今後の対策のとり方を厳しい目で逐一追っていくべきです。
実は一番怖いのは、取り壊し時のアスベスト曝露対策について厳しく法律で定められる前に非優良な業者がドカドカとビルやらを壊しアスベストを含む粉塵を撒き散らしまくることです。これはなんとしても避けねばなりません。あと、不安を煽って詐欺まがいの商法で一儲けしようと企んでいるヤツらが間違いなく必ず絶対いるハズなので、普通に生活する上ではあまり過敏になりすぎないことも大事です。
いつものことですが企業を叩いて済む問題ではありません。むしろこの問題が発覚する契機となったクボタの最初の対応は、日本国内という条件をつければ頑張ったほうなんではないかと思います。今後事実を明らかにしていくためにはクボタを賞賛すべし。
もう一つ我々が学ばなければならないことは、時間の流れの速さについての認識。環境問題というのは、まさに読んで字の如く、人間個体のみの問題ではなく「環境」を通した問題であります。「環境」における時間の流れの速さは、我々人間のそれに対する感覚とは往々にして一致しない。アスベストの問題に関して言えば、潜伏期間の40年というのは人間の身体の中の話ですが、それが建材などとして数十年使われることで「環境」を通過すれば、一気に時間の流れが変わります。その最たるものの一つが地球温暖化。温暖化問題は、大気、土壌、水という非常に大きなサイクルを持つ環境をも通じた問題です。大気を例にとって言うならば、仮に今すぐ温室効果ガスの排出を完全にストップしたとしても、大気中の温室効果ガス濃度の安定化には数百年かかるとIPCCが指摘しています。人間の時間間隔だけで測っていては被害を避けることはできません。
記事は「ニュースで追跡!マニフェスト」(http://www.seiron.org/news/)の「環境」カテゴリから見ることが出来ます。