OCEANアーティスト: B’z,KOSHI INABA出版社/メーカー: バーミリオンレコード発売日: 2005/08/10メディア: CD クリック: 76回この商品を含むブログ (162件) を見る

極めてシンプルなヴォーカルメロディの骨、そしてタイトルどおり大海原を感じさせるゆったりとやわらかなアレンジ。「OCEAN」はドラマのタイアップとしてはこれ以上ないほどの出来栄えだ。
大まかな目で見れば極めてシンプルな楽曲であると言えるが、シンプルであるからこそ、そこにどれだけ音楽的パワーを詰め込むかという点で拘りぬかれた歌唱・演奏となっている。久しぶりにB'zという音楽創作体の、特にヴォーカリストである稲葉浩志の技巧的な面がよく感じられる。
OCEANでの稲葉の歌い上げは、曲全体を通して、時間的には32分音符単位の、空間的には大まかに分けて6つくらいの音色を使い分けるという細かい装飾の嵐である。またサビの終盤では、2拍3連なのか16分単位なのかというあいまいさが不安定感を生み出し、それが一回目の繰り返しでは次へ向けた期待感を、2回目はサビ最後の解決への説得力を強めるという絶妙な崩しになっている。そして洋楽の影響を強く受けているが故に日本語としては独特な詞の当てはめ方はやはり天下一品だ。そもそも僕がB'zを好きになったのは、間違いなく、稲葉のこういう歌い方に惹かれてのことだった。そして気が付かないうちに彼はまた一つ巧くなっている気がする。あと、サビ中の一番ピッチが上がるところ、1番と2番ではすぐに半音下げるのに3番ではそのまま延ばしている辺り、こんなアドリブができるってことは多分すごく気分よく歌ってるんだろうと思う。はようライブで聴きたいな。
ギターは、2番のAメロがとてもカッコいい。そしてソロ最初のオクターブ奏法によるゆったりとした演奏は安心感を醸し出し、ピックアップを変えた後のまさしく松本というのびやかな音は僕らファンの背中をゾクッとさせてくれる。
惜しむらくはシェーンのハイハットオープンの音だ。中音を削りすぎてサクサクになってる。んでもっと暴れた音にした方がよかったんじゃないだろうか。
とにかくヘッドフォンをして、大音量で聴いて初めて魅力が分かる曲だと思う。
そんな一曲目に対して、あとの二曲は少しマニアックな、楽器の音が前面に出た最近のB'z風ロック。2曲目はソロがジェフベック風で面白い。3曲目は全体的にめちゃくちゃカッコいい。マニアックなスケールに乗ったギターリフも気に入ったし、ソロはめちゃくちゃ重い。シェーンも16ビートでハットとライドをダイナミクスつけて叩いて大ハリキリ。ドラムソロは相変わらず好きになれないけど。
尻すぼみ。