羽曳野市長は秘密を墓に持っていく可能性もあるぞ。

日本の一部の(むしろ大半の)マスコミは、黒っぽいものを見つけたら叩くことしか頭にありません。国民を代表していると勘違いしているのか、何か日本人の道徳感に著しく背くと思われる事件があると思考停止状態に陥り、容疑者に対して感情的な物言いをぶつけることに終始します。雪印事件で社長の「私は寝てないんだ」という発言に対して「私だって寝てないですよ」などとホザいた記者がいい例。社内で不祥事があった場合に社長が寝ずに対応するのが当たり前であるのと同様、大事件があったとき記者が寝ないで取材活動を続けるのも当たり前である。
そして最近では浅田農産の会長が自殺した件がその典型。あのような世の社会的情勢と深く関連がありそうな事件の場合、これを社会問題化して問題意識を共有し、事件が起こるまでの背景や経緯を識者たちときちんと分析していくことが大事であって、この場合「犯人」は、潜在的な社会問題がこうして体現化された原因を探る際の重要な「証人」であり、その「証言」が社会に果たす役割はとてつもなく大きい。それと比べ、マスコミがあそこまで執拗に攻め立てることに一体全体何の意味があるのか。大会社の社長といったこれまでいくつかの大舞台を乗り切ってきた人間と違い、田舎の農場の社長が社会的な大批判にそう簡単に絶えうるものか。警察が犯人を自殺に追い込むようなものである。
今回の羽曳野の件も、背後には、これまでメディアで報道すること自体がタブー視されてきたような深い問題が含まれていることは間違いない。その事実を知っていながら報道してこなかった大手マスコミは、少しでも自分達のこれまでのヘタレっぷりを恥じる気になったのだろうか。大手マスコミほど信用できない。


<2004.11.17 加筆修正>