ホリエモン。

昼過ぎ、丸激を見る。ホリエモンが90分もノーカットで喋っているのを見る機会は、少なくとも丸激以外ではしばらくないだろう。
ホリエモンが主張していたのは以下の点。
・速報性やオンディマンド性では、ポータル型のニュースサイトの方が明らかにテレビに勝っている等、ネットを使えばもっと視聴者の求めるニュースを報じられるし、双方向性の通信であるメリットを生かしてさらにその質を高めることが出来る。
・既に黒字が出ている企業を買収して社員をバッサバッサとリストラするなんて、今までやったこともないし、やる意味も無い。
・あれだけの利益を上げておきながら国内だけの展開で満足している現状を変え、ハリウッドに対抗しうるような世界的なコンテンツ制作メディアへと成長させたい。
・今回の僕のように、スポンサーやメディア企業自身(さらに時には政治家)の利益に沿う形で事実が歪められて世間に流れ、それがメディアの寡占状況故に事実になってしまうこの状態を変えたい。
・安定して適当にそこそこ食っていけるような状況は、クリエイター達のやる気も失わせるし、何よりも面白くない。みんな、もっと面白いことしようぜ!
上の二つは大体今までにテレビ等でもホリエモンが話していた内容。それより下のは、多分テレビではしなかった話。
彼の既存の大手メディア構造を破壊しようとする意思には強いものを感じたし、僕もそれに関しては大きく頷くものだ。彼自身、今回の騒動でメディアからの低レベル過ぎるバッシングを受けてきたことに辟易している様子だったし、まさにメディアの腐敗振りが露呈された格好になったわけだ。まあ、彼は「あまり僕のやろうとしていることのメリットを皆に知られてしまったら、それはそれで他の企業が乗り込んできてしまうかもしれないので、別に皆にわかってもらわなくてもいい」とは言っていたが。
ただやはり気になったのは、壊した後キーになってくるであろう、ジャーナリズムの話。今回彼は、買収後の展開について、映画などのエンターテイメントと、速報ニュースの話しかしなかった。これにはやはりメディアに対する認識の欠如を感じる。政治や社会に関する記事、あるいはドキュメンタリー番組などは、全体としてみれば明らかに前述のものと比べて需要は多くないだろう。しかしながらこれらが需要が少ないからといって減ってけば、ますます衆愚政治的色彩が強くなる蓋然性が高まる。この点について神保氏や宮台氏が突っ込まなかったのは実に残念。この部分を楽しみにしていたのに。
ただ神保氏も行っていたが、壊すのはホリエモンであったとしても、創るのは必ずしもホリエモンだけとは限らない。破壊によって参入障壁が低くなり、それこそ平等な機会の下で競争が起こることが、ホリエモンの行動がもたらした大きなメリットであると考えられる。ホリエモンもそういう社会を歓迎する様子だった。要するにホリエモンが新しいメディアの担い手であるとはとても思いがたいが、そんなものはさしたる問題ではないのだろう。
従ってまとめとしては今回の丸激は、「ホリエモンのやろうとしていることはこんな感じですよ」といったものだったと言える。これを受けて、破壊後に乗り込むべく今から英気を養い準備を整える人間がどれほどいるのだろう。メディアが双方向性になった時、衆愚に陥らないよう僕らのほうもきちっと勉強するなりしておかないと。
などということを考えて、バイトへ。Y君のところへ行くのは来週で最後。今日は上記のような話も少ししつつ、最後までに伝えておきたいことを色々と話した。来週は授業後に「2人しゃべり場」をしようと約束した。