毛穴一つ一つまでがその音を捕ろうと欲する。

元教え子のY君とジェフ・ベックのライブに行って来た。大阪厚生年金会館大ホール。これぞ職人という極シンプルなセット、そして演出。
ていうか、もう何だろう。61歳にして未だに極みを求め続けるギタリストのカッコよさ。彼のプレイは、神出鬼没という言葉がよく似合う。決して手数は多くないのに、「そんなことまであなたがやってしまうのか」と思わせるほど一人で色んな場所をカバーしている、そんな感じ。なによりも、最初の一音で会場中の人間を興奮と感動で震えさせ彼の世界へと引き込む、その美しく個性的で洗練された音の連なり。これまた絶妙なグルーヴに乗せられたそのギターサウンドは、感情を伴った言葉のように聴こえる。こんなギタリストが他にいるだろうか。
ジェフ・ベックだけじゃなくて今回はドラマーのヴィニー・カリウタも僕の大きなお目当てで、僕の師匠もいらっしゃっていたんだけど、ヴィニーは完全にサポートに徹していた。いやもちろんとんでもなく上手いし、チラッチラッと彼らしいフレーズも出てきて、そこらのドラマーの「サポートに徹したプレイ」とは次元が違うのは言うまでもない。でも、ちょっと物足りなかったかな。音、特にスネアの音はメチャメチャよかったんだけど。ちなみにセットはタム×4と多分シンバル×8(ハイハット1、クラッシュ4、チャイナ1、ライド1、スプラッシュ1)。サイドスネアもあったような気がする。
一つ興味を惹いたのは3拍フレーズがやたらと多かったこと。それも同じ3拍フレーズを繰り返すんじゃなくて、スネアのタイミングだけでその「3つ割り感」を感じさせるのだ。これは使えるな、と思った。
途中で突然出てきたジェニファー・バットンも上手い上手い。
幸せな2時間だった。
さて、今日は3月にこの世を去った愛犬ランの誕生日。ということで、前から決めていた通り、兄夫妻が来てランの遺灰を庭に撒いた。あれからもう3ヶ月以上経つのか。