運輸(自家用車)部門削減なるか。

京都議定書目標達成計画[http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kakugi/050428keikaku.pdf]が閣議決定された際に書いたとおり[http://d.hatena.ne.jp/yeyehill/20050430#p1]、未だに温室効果ガスの排出量増大が止まらないのが業務その他部門、家庭部門、運輸部門。運輸部門のなかでも、貨物自動車及び公共交通機関からの排出はほぼ横ばいで、自家用車からの排出が大幅に増大していることが分かっている。今後、対策が急がれる部門の一つだ。そこで、これに関連するニュースというか情報を二つ。
まずは、アイドリングストップは5秒以上で省エネ効果あり[http://www.eco-online.org/contents/news/2005/0719.shtml]という話。車はエンジンを切ればほぼエネルギーを消費しないとはいえ、エンジン始動にはそれなりの燃料を食う。従って、エンジン始動に消費される燃料は、エンジンをかけたまま停車している状態を何秒間続けた時に消費される燃料と同じなのか、というデータが必要になる。これを有効アイドリングストップ時間という。有効アイドリングストップ時間よりも長い間停車するなら、エンジンを停止したほうが省エネになるというわけだ。これは燃費の話だけじゃなくて、各種排気ガスの排出量などに関しても同じような考え方をしなければならない。
上記のデータは省エネルギーセンターのシンポジウムでの話らしい。ソースを探したらこんなの[http://www.eccj.or.jp/ambassador/jpn/27/1/1_5.html]しか出てこなかったが、環境省の報告では違った気がする。ちょうど同センターのサイト内の報告書[http://www.eccj.or.jp/traffic/pdf/hokoku_at.pdf]に記述があった。
要するに車種によってかなりバラつきがあって、ガソリン車で言えば燃費と二酸化炭素なら0秒〜15秒くらいが有効アイドリングストップ時間。信号待ち時のアイドリングストップを推奨するには弱いと思う。「おい、今お前7秒くらいエンジン付けたまま停車してただろ」「へへん、俺の車の有効アイドリングストップ時間は12秒だからいいんだよ」みたいな。あと、やっぱり始動が遅れがちになるというのも間違いないと思う。もちろん既に指摘されている通り交通渋滞の要因になりうるし、しかも自分の路線じゃない方の信号が赤になるのを注視しておくなんて、ぶっちゃけメンドクサイし精神的コストがかかる。せっかく自分がタイミングを見計らってエンジン始動したのに、前の車がうっかり遅れたりしたらそれでもうなんかすごく損をした気分になる。現代人のイライラ度を考えたらこんなことでも路上でケンカが起きそう。「てめえ!俺がせっかく有効アイドリングストップ時間より3秒長くエンジン停止してたのに、貴様が5秒始動遅れたせいでパアじゃねえか!コロス!」みたいな滑稽なコミュニケーションが起こるかも。
もちろんコンビニとかでエンジン付けっぱなしのまま買い物するのは論外だけど。要は「信号でのアイドリングストップは、ちゃんと始動できる人だけ実行すべし」ってことか。
もうひとつは、ETBE7%混入ガソリンを2008年から販売するというニュース[http://www.asahi.com/business/update/0719/044.html]。バイオエタノールをそのまま混入することと比べればETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)はかなり安定性があるし、ガソリンのオクタン価を向上させるから期待されている。あとはコストの問題が重くのしかかるので、そこを補助金でなんとかするようだ。
で、問題はやっぱりETBEの原料となるバイオエタノールをどうして調達するかなんだけど、上の記事によれば、当面はブラジルとかから輸入して、将来的には自給を目指すとのこと。一般的にこの分野では燃料と車と流通とを考えなければいけない。つまり、環境低負荷燃料を製造する技術の開発、その燃料に適合する車の開発、その燃料の流通・供給網整備。当面輸入というということは、燃料製造技術は長期的な目で養っておいて、先に流通と車の方をうまく変化させていこうという計画のようだ。それならそれでいいと思う。輸入先がブラジルとかなら、どこぞの大国から輸入するよりは縛りも少なかろう。ただ自給を考えるならやっぱりでんぷんだけじゃあ量が少ないから、リグノセルロース(木材の主要成分)から得ることも必要になるはずだ。でもまあ技術的にはまだまだ。