新月伐採のナゾ。 <「素敵な宇宙船地球号」を見て>

冬の新月の日に伐採して、その後数ヶ月葉枯らしをした木材は、カビも生えにくい上ひび割れもおきにくく、数百年も強度を維持する建築材になるという話。オーストリアのきこり達に伝わる言い伝えで、同様の言い伝えが日本にもあるらしい。オーストリアでこの言い伝え通りに作られた材が、科学的な検証の結果最も評価の高い材として公式に認められてその需要が高まっているという。
ウチの学科の先生がその話をことあるごとに僕らにしてくれていて、実習で先生の研究室にいるときなどは、実際にその木材も見せてもらった。確かに通常通りに伐採された木材と比べるとカビも殆ど生えておらず、ひび割れもほとんどなく色も違っていた。顕微鏡で観察すると、新月材は通常材と比べて極端にデンプン残量や水分が少なくなっていて、これがきっと関係あるのだろう。先生は「なんだかカルトめいた話なんだけど面白そう」と嬉しそうに話していた。
ただテレビでは「新月に伐採」という話だけがクローズアップされていて、実は伐採した後に数ヶ月葉枯らしすることも大きな要因である可能性が高いという話がカットされていたのが少し気にかかった。先生のインタビューでもそのことを話していたのに、テロップではそこがカットされていた。まあ、そういういかにも整合性がありそうな話じゃテレビにならないからなんだろうけど。
そんなことを考えていると、僕が一人で先生の研究室にいる時話してくれたことも思い出した。「確かに葉枯らしの効果もあるんだろうけど、満月に伐採して葉枯らしした材と、新月に伐採して葉枯らしした材とではやっぱりどうも性質面で違いがあるみたいなんだ」という話だった。う〜ん、やっぱり月の何らかの影響があるんだろうか。とりあえずは新月の日に山に入って樹木の生理面での変化があるのかどうかを調べるところからはじめるらしいが、いかんせん先生も言うようにカルト的な話。人手がいないらしい。
かの有名なストラディ・バリウスが新月材で作られているらしいし、日本でも昔の寺社の建築材は新月材だったという言い伝えがあるそうな。う〜ん、興味深い話だ。


■参考■
 ・2005年2月6日放送『素敵な宇宙船地球号』(テレビ朝日系)
 ・ウチの学科の某助教授からの幾度かの有難いお話(笑