オーガニックアーティスト: ナイアシン出版社/メーカー: ビデオアーツミュージック発売日: 2005/03/23メディア: CD クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る

niacin五作目のニューアルバム。メンバーは言わずと知れた、ビリー・シーン、ジョン・ヌベロ、デニス・チェンバースの三人。
僕がNiacinに持っていた感想は、初めの3枚は明らかにキーボードの質が他の二つと比べると劣って感じてしまうというものだった。それが作品を重ねる毎にヌベロのアプローチが積極的かつ個性的になってきて、前作「Time Crunch」でようやくヌベロが正式にNiacinのメンバーの一人として対等な位置に立ったと思えた。その前作でのヌベロのプレイは確かに素晴らしいものがあったが、これまでの流れからかシーンとデニスがそのサポートに徹しているという感が否めなかった。従って全体としてのまとまりはそれまでの作品とは一線を画するものがあったもののまだ三人の力量が完全に生かされた作品だとは言えないという印象だった。しかし、だからこそ「Time Crunch」を踏まえたうえでの今作への期待が際立って大きかったことは言うまでも無い。
そしてその期待は一曲目の、それも冒頭で見事に応えられた。超絶技巧を駆使した爆発的な音楽の疾走が聴いている者の脳天を突き抜け、あっという間に素朴な受け入れ態勢を見に纏わせる。完全に解き離れて自由に奏でられるキーボード、圧倒的に手数が増えたシーン。そして、僕が最も期待していたデニスの、僕が彼に惚れ込む原因となった珠玉のプレイの数々。これまでは三人をまとめて聴かなくてはならなかったのが、ようやく三人のコミュニケーション表出として作品を楽しめるようになった。
これまでと比べるとかなりプログレ色の強い作品となった今作は、一瞬たりとも耳を離すことのできないスリリングな時間と空間を我々に提供してくれる。しかもフランクザッパのカバー曲というオマケまで入っていてはもうお手上げ。紛れも無くNiacinの現段階での最高傑作である。
オススメは「Barbarian @ The Gate」「Nemesis」「Super Grande」「No Shame」など。
デニスと聴いて真っ先に超高速連打を思い浮かべるヤツにはとりあえずこれを聴かせるといいかも。